BARENAがあるヴェネチア。ヴェネートという州に属す市で、特に有名なヴェネチア島は世界的に有名な観光名所。ラグーナ (潟) がある遠浅の海に囲まれいて、島の中を流れる運河を大小さまざまなボートが行き交う。本当に美しくて現代にあるのが嘘のような島で、機会があれば是非一度行ってみて欲しい場所。「BARENA」とは、その海のことを表す言葉。


BARENAは一族で経営している温かな組織で、訪れる度に家族のようにとても厚く迎えてくれる。前回行ったときには、創業者サンドロが自分の家で手作りのディナーを振る舞ってくれた。前菜、煮物、パスタと、何でもさくっと作ってしまうスマートさは、さすが本場イタリアの伊達男。そして、薬瓶や杖、鞄などのアンティークコレクションを (勝手に) 見せてもらっていたときに、ふと目に留まったこの写真。
左に写っているのが創業者サンドロで、となりは今の社長ジョバンニ。宿題でも見てあげているように見えるサンドロをよく見てもらうと分かるのだけど、BARENAの代名詞ともなっているトグルが胸についたニットを着ている。

右のジョバンニは、それはそれは大きくなって(2m近いやさしさの塊のような人)、今や美しい愛娘を抱いている。聞けば、サンドロが写真で着ているニットは、始めてデザイナーのマッシモがトグルを付けて制作したプロトタイプだそう。なんと、20年以上前の写真だという。



店に入荷したBARENAの商品を見ていて、この写真の事を思い出した。好きな事を長い間やり続けるとそれはスタイルになる。今や色々なところで見るようになったこのデザインの原点を見たようで、ますますこのファミリーが好きになってしまった。
そういえば、ヴェネート州はプロセッコ (白発砲ワイン) の産地としても有名。車を内陸に走らせれば葡萄畑が続く山々に入る。そんな山道の途中でマッシモ達に連れて行ってもらったレストランが凄かった。

これ天井全てお鍋です。伯爵でも座りそうな大テーブルに大小の部屋、いくつもある暖炉。急に現れたアジア人に興味を持ったのか、BARENAの皆をよく知るお客さんの1人に話しかけられた。「プロセッコを作っていて、U2のボノの為にも毎年生産して送っている、今日本の代理店を探してるからやってくれないかい?」
U2というセールストークに思い切り引き寄せられつつ丁重にお断りした。