巨神兵が東京へ現れた、との噂を聞いて東京都現代美術館へ出掛けた。
目当ては現在開催中の展覧会
「館長庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」。これが最強に面白かった。
円谷英二さんが始めたとされる日本の「特撮」をテーマに、「エヴァンゲリオン」監督 庵野秀明さんが館長となって博物館を立ち上げたというコンセプトの企画展。精巧なミニチュアで作られた街や小道具、キャラクターなどをたくさん見ることができて、そのセットにも入って撮影もできたりする。

これもミニチュア。小さい頃はひたすら塀と塀の間とか、壁のスキマとかに独りで入り込んで地味な虫とか捕まえて喜んでいたので、こういう家の裏の誰も見ない壁の汚れとかを見ると懐かしさでキュンとする。こんなもの作る人はきっと優しい人に違いない。

スタジオジブリの最新特撮短編映画「巨神兵東京に現わる」も上映されていて、これがまたやりきってて凄い。巨神兵の造形自体は個人的にはナウシカの時の感じが好きで、こちらはあまりタイプじゃなかったけど、巨神兵が出現したシーンはかっこよくて鳥肌立った。展覧会ではこの映画のメイキングも一緒に見ることができる。
デジタル技術の発展と共に忘れられつつある、特撮の心躍るワクワク感を分に味わえる素晴しい展覧会だった。盛りだくさんの内容の中、実は何よりも自分が感激したのは、ジブリ/宮崎駿さんと庵野秀明さんというビッグネームの華やかさではなく、成田亨さんの原画などが見れたこと。
成田亨と聞いてピンと来る人はそう多くないかもしれない。成田亨さんは、ウルトラQ、ウルトラマン、ウルトラセブンなどの怪獣やメカのデザインを手掛けたデザイナーであり彫刻家。大器さんが喜ぶ青森県出身。展覧会についてたいして調べもせず行ったので、嬉しい誤算だった。
実は小学生の頃から怪獣少年でブルマァクやマルサンなどアンティークの人形を蒐集していた。中学くらいでなべやかんさんの存在を知ってその道からは早すぎる引退をした。それでもやっぱり好きなものは変わらない。今でもたまに大ファンの
「まんだらけ」さんへ出掛けて、目を細めながらそのショーケースの中のお宝を見ている。
東宝東映の怪獣映画、レイ・ハリーハウゼンの映画、スターウォーズ、ウルトラマンシリーズのキャラクターデザインは、もう頭というか体に染み付いている少年期のルーツのようなもの。なかでも一番影響を受けたのが成田亨さんのデザインだと思う。

展覧会ではデザインを手掛けた宇宙人やメカなど様々なものが紹介されていた。ウルトラマンの敵になる宇宙人のデザインについて、「地球人にとっては悪でも、彼の星では勇者であり正義なのだから、『不思議な格好よさ』がなければいけない」と言っていたそう。カワイイとか分かりやすいではなく子供に媚びない美しく格好良いデザインの宇宙人や怪獣達は、確かに今見ても変わらぬ魅力を放っていた。

実家にあったはずの成田亨 画集を探すも、どっかに行ってしまって見つからない。何かと一緒に処分してしまったか。何十年も前の事だし仕方ない。けど、嗚呼見たい。。
東京都現代美術館では、ちょうど
「Future Beauty 日本ファッションの未来性」も同時に開催中。お客さんが神妙な面持ちでコレクション動画を見ながらメモを取ったり凄く真面目。ファッションの勉強もできるのは確かなようです。
展覧会は10月8日月曜日まで。
もう一回行きたい。