ビームスのバイヤーである中田君からジンを貰った。ジンといってもお酒の「GIN」ではなく「ZINE」。つまり、コピー機を使って作者が一部ずつ作るハンドメイド感のあるブックレット。

その夜は同じビームスの久保田君も一緒に食事をしていて、久々の挨拶代わりに頂いたのだけど、ちょっと開いて見たら、もう目が釘付け。飲んでても気になって仕方ない。ページをめくる度にやってくるビジュアルショックに眼がくらんだ。。

ジンの中身は、来期のBEAMS SURF & SK8 (※スケートの意) についてプレゼンする内容だ。小さい字でびっしりと手書きの文字が並び、無数の写真が使われた切り貼りのコラージュのようなレイアウトデザインの中に、来期の仕入れやブランドに対する熱く赤裸々な思いが、もの凄い文字量でぶちまけられている。
一言でいうとカオス。自分も面識のあるバイヤーがモデルとなって、サンプルを着ている写真などもたまに出てくるのだけど、その目も緑や青や赤に塗りつぶされている。そんな中に、成長点に異常がある野菜の写真がこれでもかとレイアウトされているのだ(異常というのは人間側の勝手な論理だけども)。しかも、全ページが袋とじになっており、その全てを開く事で、ド級の衝撃は2倍になり、セカンドインパクトが起こる仕掛け。

このジンを作ったのは、そのBEAMS SURF & SK8の担当者の方だそうだ。恐らくこれは基本的には社内向けで、担当者がやりたい事やろうとしてる事を現場スタッフに伝えたくて作ったものなんだと思う。正直、肝心な商品の写真は殆ど無く、どんなものをやるのかは分からない。けど、そんな事はどうでもよくて、大事なのはこの「熱」なんだと思う。
ALL OTHER STORES SUCK!! そんな愛溢れる叫びでこのジンは終わっている。ちょっと感動した。そのくらいの心意気がなくちゃきっと嘘だ。聞けば、この方の実家が農業をされていて、登場した野菜はすべて自家製というのにも痺れた。
ものごとを動かしていくのは、結局こういった極私的な偏愛なんだろう。熱病が伝染していくように、熱い思いが拡散してムーブメントが起こる。自分もその本気度に引っ張られて、一字一句残さず読破してしまった。そして何だか応援モードになり、ビームスという会社の懐の深さを感じながら、敬意をもってページを閉じたのだった。

HPの人気コンテンツ「LIFESTYLE」の取材では、「国際多肉植物協会」の小林さんとお話しをした。小林さんが初めて多肉植物に目がキラキラしたのは中学の時だ。そのワクワクが74歳の今も途切れる事無く続いて、今や普及する立場としていきいきと大活躍されている。これも小林さんの情熱の賜物。
子供の頃から憧れてたものになるって、なんて素敵な事なんだろう。小林さんはまさに甲本ヒロトが言うところの、不死身のエレキマン。第一希望の人生を生きてきた人の話しは、聞いていてストレスが無くシンプルでとても面白い。
溢れる好奇心から海外の原産地を訪れ、植物の輸入に尽力する様は、まだ見ぬ洋服や靴を求めて世界中を回る自分達の姿と重なる。そういえば、清水さんが洋服屋になるのを決めたのも、中学の時だったと前に聞いた事がある。電気のトラブルでも何でもいいから、そんな不死身のエレキマンが日本にどんどん増えて欲しい。
今年も残りわずか。皆さんお疲れさまでした。
来年も良い年になりますように。