
今は休刊となっている女性誌「MC SISTER」の "MC" は、「MEN'S CLUB」の略。メンクラの姉妹誌という位置付けで、当初からメンズライクなファッションや情報も敏感に取り上げていたそう。多感な16才だった清水さんはそこで、ROCK'N'ROLL CAN NEVER DIE! な「CREAM SODA」のオープンを知る。
原宿周辺であることは分かったのだけど、細かい情報は書いてない。それでも行きたくて友達を誘い、勢い甲府から急行に乗ってみた。新宿でホームに降りると、同じ電車からなんと完璧にフィフティーズで決めたかっこいいおじさん(今思えば、20代半ばだろうけど)が下車するのを目撃。
この人は絶対「CREAM SODA」に行くでしょ!?と、後を着けてみたら、やっぱり新宿で山手線渋谷方面のホームへと移り、乗り換えてまんまと原宿で降りた。こりゃあ間違いないぞ!と、そのまま後を着け駅から明治通りを渋谷へ歩き、まんまと目的の「CREAM SODA」に辿り着くことができたそう。
途中、その人が色々な店による度に、同じ店に寄ったから、今から考えればきっと相手は気付いていたはず。その人は幼き頃の清水さんを横目で見ながら、かわいい奴だと思ったりしてたのだろうか。「AT LAST & CO」の邊見さんと飲んでいたとき、清水さんのそんなエピソードを思い出した。
昔は原宿から渋谷までの道のりが輝いていた。雑誌やネットではなく店をクルーズして、そこでどれだけ知識を得るかが勝負みたいなところがあった。情報はいつも街に落ちていた。邊見さんも東京生まれなので、中学生にもなると原宿から渋谷の店を歩きながらチェックして回るのが日課。店員になめられないよう、自分なりに精一杯かっこつけたりしてたのも今となっては良い鍛錬。
明治通りやキャットストリート、ファイヤー通り、どこもあるのは個性的な店ばかり。かっこいい大人が多くて、うろつくだけで気分が上がった。あの頃、80年代の原宿から渋谷の感じは、今でもたまに思い出す。
今では当時と店の在り方もずいぶん変わってきて、渋谷は正直子供の街になってしまった。またどこかのエリアがあんな風にきらきらとした街にならないものかと、美竹公園から神宮前、青山通り、アイビー通りなんかを通りながら考える。なんて話しをしてるとついつい飲み過ぎて痛飲。で、二日酔いのまま長崎へ。そして長崎は雨だった。