机の上に熊除けの鈴がある。眺めてるだけで山や川の情景が頭に浮かび、たまにカランコロンと鳴らせば気分も軽くなる。オフィスにいながらの森林浴、アームチェア・アウトドア。外が猛暑の最中、これがなんとも心地良い。

本間良二から聞いていたアラスカへの旅が「POPEYE」で誌面になった。つい先日一緒に痛飲し、旅の話しを色々聞いていた。"アラスカ" は男子なら誰もが一度は思いを馳せる特別な場所だ。わざわざ鍵カッコを付けたくなる土地。残念ながら生まれてこの方行く機会を作れていない、が、やっぱり行きたい 。きっといつか行くだろう。でも正直、若い時に行きたかったな。きっと「POPEYE」読者にはぴったりだ。
アドベンチャーを特集した最新号。巻頭特集にやられてしまった。写真家の平野太呂さんが、NYからLAまで北米大陸を横断してその模様を寄稿しているのだけど、途中テキサス州のエルパソに寄って、なんとメキシコのシウダー・フアレスにまで行っていた。シウダー・フアレスといえば、麻薬カルテルに支配されたヤバい街。飛び抜けて危険な国境の街として知られている。日本ではあまり報道されないけれど、今やメキシコは本当に危ない国で、ネットを少しチェックすればその凄まじい状況が分かる(もちろん地域差はある)。
国境を境にしたアメリカ側がエルパソ。「NEEDLES」のイメージ撮影でサンタフェからエルパソへの旅をした。そこには凝縮された思い出がある。街でモデルをハンティングしながらの撮影ツアー。NEEDLES的な人が集まりそうなカフェや書店はもちろん、スーパーマーケットやモールまで足を伸ばし、エルパソで一番粘ったのはギターセンターという有名楽器屋チェーン。ミュージシャンとは不思議と気が合い、意思の疎通もしやすい。仕舞いには店のお兄ちゃんと仲良くなって人を紹介してもらったり。高速沿いにあるギターセンターの駐車場で、日が暮れるギリギリまでカメラマン正田とひたすら人を待ちながら寂しい歌を歌ったり。すっかりメキシコなエルパソのダウンタウンも最高だった。アジア人なんてほぼ居ないから、皆が露骨にこちらを見てくる。タコス屋では、子供が至近距離でじーぃっと見てきて。忘れられない視線。

左のネルシャツの二人は国境付近のマーケットで撮影。アメリカ側とはいえ国境付近は良くない。英語も通じず、俺たちがいるだけで人が集まってしまう。大勢に囲まれると、どうしても緊張。正田はカメラをシャツで隠して防御。右の男性はエルパソのスターバックスの駐車場で出会った。「ここに住んでる訳じゃないんだ。別れた女房がこっちに住んでて。彼女と会う訳じゃないんだけど、毎週この街を通る度に何となくいつもここに寄るんだ。」トラック運転手ならではの静かな未練。

そんな隠れたエピソードが詰まった2010年秋冬のイメージブック。あの旅をしたのはもう4年も前か。ディアブロ渓谷も最高だった。またそろそろ流離おう。実はじわじわと計画もある、サンフランシスコから120マイル南の地へ。

最新号の「POPEYE」では、石川祐樹さんの "柔術ボーイになる!" がいよいよ最終回。
編集の中川君もとても勉強熱心で、素晴しい連載となった。若かりし自分に物凄いショックを与えてくれた、ブルース・ウェーバーの「O RIO DE JANEIRO」も紹介されている。学生には身分不相応な大枚を叩いて買ったあの本。そこに写ってる一人がブラジリアン柔術の帝王ヒクソン・グレイシーであることを知ったのは、手に入れてから随分後のこと。自分がやるようになり、やがて点と点が結ばれてショックは倍に。
"柔術の源流はストリートファイトにあり"。冒険と同じく、格闘技にも男子を虜にする根源的な何かがあるのです。嘘だと思うなら、
カルペディエム青山で確かめましょう。
台風が去ったと思ったらいきなり夏!?な週末、各店舗では「MORE SALE!」がスタートです。
夏の本番はまだまだこれから。皆さん是非お出掛け下さい。
好評発売中!
このコラムから初の書籍が誕生しました。
ある格闘家の戦いの記録。
いまを残したいというただそれだけの、
でもとても切実な祈り。
日々の小さな幸せは、
実は奇跡の連続なのだと気づかせてくれる。
写真家・川内倫子
「3回手術すれば生きられます」。娘が誕生した翌日、聞かされたのはそんな言葉でした———。
格闘家として身体を酷使してきた父が、心臓疾患を持つ娘との日々を綴った人気ブログ「パパはね。。」を書籍化。軽やかな文体の中に見え隠れする、生と死の脆さ、命のたくましさ、母娘の強さが、著者自身の撮影による瑞々しい写真とともに心を打ちます。
木村伊兵衛写真賞受賞写真家、川内倫子氏も絶賛。