「男はいつの世もだらしないし、女はいつの世もたくましいし、子供はいつの世も姑息だし。そういうものが出会って醸し出すものの中に、ケチな幸せがいっぱい転がっている。それが人生だ。自然がそれを支えている。」
『北の国から』を生み出した脚本家、倉本聰さんが、作品のテーマについて話していた言葉。年始に一挙放送されていて、何度目かの全話視聴。相変わらず面白い。何年かぶりに「スパゲッティ。。バジリコ。。」を聞いて興奮した。ちなみに放送してたのは、日本映画専門チャンネルというケーブルTV局で、最近特にお気に入り。
ドラマに続いて『二十四の言葉』という倉本聰さんのインタビュー番組も放送されていて、それも良かった。『北の国から』といえば、田中邦衛さんが演じる黒板五郎な訳だけど他の候補に藤竜也、緒形拳西田敏行、高倉健、中村雅俊、などが上がっていたとか、五郎は七人兄弟の5番目という設定だったとか、自分の丸太小屋も本当に火事になっちゃったとか、ファンには堪らない裏話がたくさん聞けた。
山田太一さんや、倉本さんは、物語を使って社会にものを言う。それが面白い。そして、TVドラマにも普遍性があることを証明してみせた。終わった瞬間に忘れてしまうトレンディドラマとは全く質が違う、訳で。。

先週は札幌へ。SOUTH2 WEST8の店舗に一部インショップのようなものを作る計画があり、現場でリニューアル内容や来秋冬のコレクションなどについて擦り合わせ。調子良く色々決まって、後半は旭川へと車を走らせた。気温はマイナス10度以下。何度も見ていた景色が、一面の雪で全く違うものに。スノーシューがこんなにも便利なものだと初めて知った。寒さも忘れ、何時間も川の周りを歩きまわり竿を出す。そして、最後は要さんがメイクドラマ。詳しくはFISH AND BIKEのブログなどで。

深い雪の上を歩きながら、倉本さんの言葉を思い出した。「丸太をノコギリで切るシーンになると、(田中邦衛さんは)凄い勢いでムキになって切るんだ。そんなやり方じゃ30分も続かないよって笑ったね。もっとのんびりやるように言った。本当に作業してる人はそんなやり方をしない。瞬発力じゃなくて持続力なんだよ(要約)」。そう、大事なのは持続力。氷点下でも、ムキになって動くと汗をかき、それが冷えてダメージになる。自分に合ったペース配分が、目標到達のための必須事項。もの作りや、店の運営でも、持続力がなければつまらない。雪の上を歩きながら、頭のなかでは色んなことがリンクしていた。
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このコラムから初の書籍が誕生しました。
ある格闘家の戦いの記録。
いまを残したいというただそれだけの、
でもとても切実な祈り。
日々の小さな幸せは、
実は奇跡の連続なのだと気づかせてくれる。
写真家・川内倫子
「3回手術すれば生きられます」。娘が誕生した翌日、聞かされたのはそんな言葉でした———。
格闘家として身体を酷使してきた父が、心臓疾患を持つ娘との日々を綴った人気ブログ「パパはね。。」を書籍化。軽やかな文体の中に見え隠れする、生と死の脆さ、命のたくましさ、母娘の強さが、著者自身の撮影による瑞々しい写真とともに心を打ちます。
木村伊兵衛写真賞受賞写真家、川内倫子氏も絶賛。