この前、釣りに出かけた際に、ドライブ中に最近できたネペンテスオリジナルのキャンドルの話になった。

もちろんオリジナルなので、香りは試行錯誤の末うちのスタッフのチョイスで決まったわけだが、最終的に決めたのは清水さん。何しろ香りというか、フレグランスというか、匂いにはかなりうるさいので。
それに比べて僕は、子供の頃から鼻が悪くて、鼻炎というか何というか、中学の冬休み中に手術を受けたぐらい鼻には自信がない。なので当然、匂い音痴（っていうのかな）というか、全くわからないわけではないけれど、その微妙な違いが良くわからない。なので、年頃の頃にハマるオーデコロンにも、いささか遅れ気味で入り、そしてその先はなく、いつの間にか消滅した感じで終わってしまった。ま、人それぞれに好みとか、時代とか、いろいろあるのだけど、僕の場合は、MG５、エロイカ、エロイカ／バリアント、ブラバス、タクティクス、ロードス、シーブリーズ　っていう順番だったと思う。MG５にはコロンは無かったし、シーブリーズは、当然コロンではない。ただ、始まりはその辺からで、終わりは、結局シーブリーズ一本だけになってしまったって事です。

その中で最も気に入っていたのが、タクティクス。これは、当時じゃあとにかく渋かった。渋かったのは、多分青森だけだったかもしれないけれど、取りあえず渋かった。あと匂いが分からない僕でも、これだけは一発で覚えた。誰かがこれを使っていると一瞬にして気がつく。これは、タクティクスが本当に独特の香りだったからだと思う。嫌いな人もいたかもしれないが、自分の廻りにはいなかったかな。香りのオリジナルティはずば抜けていたと思う。

ソムリエではないので、その香りを言葉で表現はできないけれど、例えばロードスなんかは、高級ではあるけどやっぱりオヤジの匂いがした。単純に既成観念かも知れないが、そんな感じだった。
一方の、タクティクスは、なんだか、新鮮な、そして知らない世界を知っている大人のカッコ良さがあった。ような気がする。当時の広告とか、イメージから作られたような気がするけど、確かにそんな雰囲気を持っていたと思う。今考えると、学ラン着て、ボーズ頭で、大人の香りも何もないんだけどね。

それでもこのタクティクスの強烈な香りは、その後３０年経っても記憶が消えていない。誰かがもう売られてはいないタクティクスのコロンを使っていたとしたら、今でも即座に気がつけると思う。これはある意味凄いことなんじゃないだろうか。

オリジナリティがあって良いというのは、他とは違うってことなんだけれど、ただ違っているだけでなく、やっぱりそれが時代に合っていることかも知れない。

さて、ここからまとめに入ることにしますが、このタクティクスを作りたい。あらっ、一体このオヤジは何を言い出してるんだと思う方もいらっしゃると思いますが、別にタクティクスのコロンを復刻するわけではないです。いや、もし資生堂さんが復刻してくれたら僕は買いますが、まずナイです。

言いたかったのは、タクティクスみたいな商品（洋服）を企画したいという意味です。いろいろと選択肢の多い世の中で、何だかとても印象の強い、オリジナリティ溢れた魅力のある商品。そして何年経っても、ずっと記憶に残る商品。そういうものを作りたい。いつも考えてはいるのですが、才能がないのでパッと思いつかない。何時間も、何日も頭を使うのですが、なかなか見えてこない。

本当のデザイナーとか、クリエーターとかいう人は、何も無いところから良いアイデアを作れる人たちだと思っています。僕の場合は、何も無いところから考えつく事は無理。ただ、それを見さえすれば、それが自分の探していたもの、考えていたものなのか、そうでないかは分かると思っています。ただ、それを提示できる人がいないし、それを見つけられるのは結局自分自身だったりするかもしれない。全く具体的なものは見えてはいないのに、これは違うというのをずっと辛抱強く見ていくと、いつかきっと、偶然に、思ったより早く、あるいは思った以上に時間がかかって、見えてくるものもあるのではないだろうか。

悪い鼻で何かを嗅ぎあてるのと似てる。かも？

年齢が僕に近い人でないと、一体何の事を書いてるのか全く分からないと思いますが、無理を承知で書いてしまいました。写真はハリケーン・アイリーンの後に出かけて行ったロングビーチです。今後は、基本は海の写真と言って置いた方が良いのではないかと気がつきました。来週にはプロのコンペがここで行われるし、NYではファッションウィークと、イベントが続く予定です。

ではまた次回。